2010年06月14日

マルセイユ版研究会前記その2

そもそも、マルセイユ版と呼ばれるタロットですが、ノブレのタロットの解説書によれば、「マルセイユ・ヴァージョン」という様式の名称であり、マルセイユで作られたとは限らないとのこと。この流れを汲むものとしては、ジーン・ノブレ(パリ、1650年頃)、ジーン・ドダル(リヨン、1701年頃)、ジーン・ピエール・ペイアン(アヴィニイヨン、1713年)らのタロット、さらには、有名なニコラス・コンバーのタロット(マルセイユ、1760年)があるわけなのですが、手元にはペイアンのデッキがありません。もちょっと探してみますが、、研究会に、どなたかお持ちいただければ幸いです。


また、もうひとつのマルセイユ版の流儀があることも、ノブレのタロットの解説書には書かれており、それはミラノの伝統を汲んだものであると。つまり、ヴィスコンティ版でしょう。マルセイユ版も、タロットの系統としては、ヴィスコンティ版の亜種なのです。ところが、もともとのヴィスコンティ版においては、アルカナ「悪魔」「塔」が抜け落ちている、現存しないということなのです。


ところが、どのマルセイユ版の解説書においてもですね、「悪魔」「塔」は肝の部分なのです。中世屈指のフラタニティの象徴ここにありきとばかりに、超越的なエネルギーについての解説が、なされていますよね。カモワン・タロットの『「塔」ではなく「神の家/ラ・メゾン・デュ」なのだ』なる下りに衝撃を受けたものです。マルセイユ版というのは、占術道具というより、思想の体系絵図なのだなぁと感服したものです。

ウェイト版もまた、マルセイユ版の亜種なのだけれども、より占術向きに作られていると言ってもよろしいのではないかと感じます。


ところで、グランド・タロット・ベリーヌ「偉大なるベリーヌのタロット」が最も優れたマルセイユ版であると主張するお方もいらっしゃいます。実在のマギにデザインされたものであるからでしょうか。


グリモーのマルセイユ版批判は、学研の「秘伝カモワン・タロット」にも記されていますね。。青い髪の女性が美しいアルカナ「星」に定評があったりもしますが、いかんせん、伝統的な「星」の女性は、版画のせいか、美的ではない。が、ドダルのデッキにおいては、そもそもデッキの作画家は絵の才能ではなく、象徴学的なデザインに秀でた人間であることが強調されています。
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